クラウドファンディングの仕組みは?種類や特徴、やり方を解説!

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最近巷でよく聞くようになったクラウドファンディング。キングコング西野さんの「えんとつ町のプペル」はクラウドファンディングを活用した事例として話題になりましたね。

しかし、クラウドファンディングの名前は知っているけど、実は細かい内容はわかっていないという方もいると思います。

そこで、今回はクラウドファンディングの仕組みからメリット・デメリット、成功事例・失敗事例、資金調達の流れまで分かりやすく解説します。

クラファンを利用してプロジェクトを成功させた事例がある一方で、失敗に終わってしまったものもあります。本記事では、そのような成功事例・失敗事例もご紹介していきます。

クラウドファンディングを使って面白いプロジェクトに参加してみようという支援者から、プロジェクトを立てて資金調達をしようと考えている起案者まで、どなたにも役立つ内容です。ぜひ最後までご覧ください。

クラウドファンディングとは?どんな仕組み?

クラウドファンディング(ソーシャルファンディング)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた言葉であり、不特定多数の人がインターネット経由で他の人々や組織に資金の提供や協力などを行うことを指します。

具体的には、「こんなモノやサービスがあったらいいな」、「世の中の問題を、こんなふうに解決したい」といったアイデアやプロジェクトを持つ起案者(プロジェクトオーナー)が、専用のインターネットサイトを通じて世の中に呼びかけ、共感した人から広く資金を集める方法のことです。

クラウドファンディングの種類は5つ!支援方法によって分類される!

大まかなクラウドファンディングの仕組みは上記の通りですが、さらに細かくみていくと、クラウドファンディングは資金提供者や支援者・出資者への出資のお礼(リターン)の方法によって、5つの種類に分けられ、それぞれに特徴があります。

  1. 寄付型
  2. 購入型
  3. 融資型
  4. ファンド投資型
  5. 株式投資型

それぞれ詳しくみていきましょう。

①寄付型

寄付型のクラウドファンディングは、その名の通り、「寄付」を目的としているため、支援者に金銭的なリターンはありません。代わりにプロジェクトオーナーから「お礼の手紙」や「活動報告」が送られてくるなどのお返しがあります。

主に災害復興や難民救済等、ボランティア活動を行なっている人や福祉団体により実施されており、どのプロジェクトも非常に社会的意義の大きいものであることが特徴です。

実は、日本にクラウドファンディングを広める大きなきっかけになったのは、東日本大震災後に被災者を支援するために行われたこの寄付型クラウドファンディングでした。

普段あまりボランティア活動に参加しない方でも、クラウドファンディングを通じて社会貢献ができることに魅力を感じる人が多いようです。

また、支援者は、支援金額を寄付控除として利用することができるので、税金面でも有利です。

ただし、プロジェクトによって、寄付金が控除対象となり税制優遇が受けられるかどうかはまちまちです。実際に寄付控除として使えるプロジェクトは限られており、数はそこまで多くないのが実情といえますので、プロジェクトの詳細を確認するようにしましょう。

②購入型

購入型は、プロジェクトオーナーがある商品を作るために資金を調達し、出資者はリターンとして、完成した金銭以外のサービスやモノなどの商品を受け取れる仕組みです。

資金調達以外にもPR、テストマーケティングといった目的で個人・法人問わず数多くのプロジェクトが立ち上がっています。

③融資型(貸付型、ソーシャルレンディング)

融資型をはじめ、以降に紹介する「ファンド投資型」「株式投資型」はまとめて投資型とも呼ばれます。具体的なリターン方法はそれぞれで違いますが、利子や配当金が提供されるなど金銭的なリターンがあるという点では共通しています。

融資型は、主にソーシャルレンディングや貸付型とも呼ばれ、投資家がクラウドファンディング業者を通じて資金を貸し付け、見返りとして投資元利金(元本+利子)が分配される仕組みです。

融資型クラウドファンディングでは、5~10%の利回りが期待できます。ただし、クラウドファンディングサイトで融資を募る企業というのは設立年数の浅い中小企業がメインとなるため、ハイリスクな投資とも捉えられることがあります。

矢野経済研究所の2017年度の市場調査によると、日本全国のクラウドファンディング の内、融資型(ソーシャルレンディング)が全体のうち90.2%を占めており、日本で最も普及しているクラウドファンディングとなっています。

④ファンド投資型

投資の見返りとして投資家がサービス・商品の提供と売上の一部などの分配を受けられる仕組みで、簡単に言えば購入型と融資型を組み合わせたものです。

ファンド型は融資型と違って、投資先の企業情報を見ることができます。日本にはファンド型の事業者が少ないため、融資型と比べると知名度は低いです。

⑤株式投資型

株式投資型は未公開株を購入する形で資金調達に貢献できる仕組みで、支援先企業が上場した場合に売却益を得られる可能性もあります。

しかし、株式投資型は5つの中で一番新しい種類であり、まだ試験段階であるなどのことから、国内ではまだあまり浸透していません。

クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディング全体のメリット・デメリットを「プロジェクトオーナー」「支援者」それぞれの観点からご説明します。

プロジェクトオーナー(資金調達者)側のメリット

  • 資金調達の可能性が広がる

これまで資金調達というと、銀行やVC(ベンチャーキャピタル)へ事業計画を提出し、審査を通過する必要があり、企業ではない個人が気軽に行えるものではありませんでした。

しかし、クラウドファンディング利用することで、面白いアイデアや画期的なアイデアであれば、それに賛同した世界中の人から資金調達ができるようになりました。

銀行などの金融機関が融資の際に重視するのは、ビジネスの成長性・確実性といった点ですが、クラウドファンディングでは、こんな世界が実現したら面白いんじゃない!?という点に共感して支援してくれる人も数多くいます。

  • 自己資金や信用情報に関係なく誰でも利用できる

クラウドファンディングは自己資金や事業経験の有無、申込者の信用情報に関係なく利用を申し込むことができます。

自己資金が足りずに銀行からの融資を断られた方、ビジネス経験がないの借り入れを諦めていた方など、どんな属性の人でもクラウドファンディングを利用できます。

  • 宣伝効果とファンの獲得につながる

クラウドファンディングによって事業を開始する前から支援を呼びかけることによって、知名度を高められるなどの宣伝効果があります。

また、支援をしてくれる人はプロジェクトの理念などに共感している人なので、商品やサービスのファンになってくれる確率も高いでしょう。

プロジェクトオーナー(資金調達者)側のデメリット

  • クラウドファンディングを管理するコストは大きい

クラウドファンディングでは、様々な管理コストが発生します。

例えば、購入型クラウドファンディングの場合は商品・サービスの発送手続きが必要であったり、融資型の場合は、分配金の振り込み等が必要です。

気軽に資金調達ができる一方で、支援してくれた人へのリターンなどを管理する大変さもあるといえます。

  • 資金調達のスケジュールを予測しにくい

クラウドファンディングでは申し込みから入金までに平均的に4~5か月かかります。

実際、お金が集まるかどうかはやってみるまで分かりません。銀行等の融資では一回審査が降りれば、決まった金額が期日に振り込まれますが、クラウドファンディングでは、いつ目標金額に到達するかのスケジュールは支援者次第になります。

  • アイデアを盗まれる可能性がある

事業を始める前から支援を呼びかけることによって、アイデアを盗用されるリスクが出てきます。

開発途中で誰かに特許を横取りされてしまった、という事態を防ぐためにも、情報を公開する前に特許を出願している方もいます。

支援者(出資者)側のメリット

  • 個人で気軽に出資ができる

クラウドファンディングが登場する以前、どんなに面白いアイデアがあったとしても個人がアイデアに魅力を感じて出資という形で参加できる広い手段はありませんでした。

クラウドファンディングが登場したことで、「自分が面白い」と思ったプロジェクトに気軽に出資ができ、かつそれに対して、商品・サービスや金銭的なリターンが得られるのはメリットといえるでしょう。

  • 自分が共感したプロジェクトを応援して、夢の実現をサポートできる

クラウドファンディングでは、これまで見たこともないような新しいアイデアが次々とプロジェクトとして登場しています。

その中には、「あ、それ私も同じこと思ってた!」「確かにこんな世界が実現したらめちゃくちゃ面白いかも」など共感できるアイデアもたくさんあるでしょう。

クラウドファンディングを通じて、出資することであなたもそのプロジェクトの一員になれます。自分1人ではできなかった夢・アイデアを実現するサポートができるのは魅力的ではないでしょうか。

  • クラウドファンディングでしか手に入れられない商品がある

一時期話題となった、キンコン西野さんの「えんとつ町のプペル」では、支援者に対して、オリジナルトートバックやオリジナルポンチョなどを提供していました。

これらはお店では売ってなく、支援者のみが受け取れるグッズです。

このようにクラウドファンディングを通じてしか手に入らないモノもたくさんあります。

支援者(出資者)側のデメリット

  • プロジェクトは必ず成立するとは限らない

募集されたプロジェクトは必ず成立するとは限りません。

自分が出資したとしてもプロジェクトの目標金額が達成できなければ、どんなに共感できたプロジェクトでもその時点で終了してしまいます。

  • プロジェクトオーナーが詐欺師などの悪意を持った人の可能性もある

購入型クラウドファンディングや寄付型クラウドファンディングでは、集めた資金が本当に正しく使われているかを確認することは難しいです。

このような仕組みを利用して悪意を持った利用者が現れる可能性は決して否定できません。

クラウドファンディングの市場規模・業界動向

市場規模

矢野経済研究所のデータによると、2017年度の国内クラウドファンディング支援額(市場規模)は、新規プロジェクト支援ベースで前年度比127.5%増の1701億円に成長していて、支援者数は137万人となっています。

2014年度の222億円、2015年度の380億円、2016年度の748億円と推移していて、2017年度は2014年度の7.66倍と急成長していることが分かります。

市場拡大の背景としては、2015年度に金融商品取引法が改正された結果として創設された「株式型」の提供が2017年4月から始まったことがあります。

また、地方自治体でのクラウドファンディング活用が広がり、大手メディアや運輸業、製造業、物販業などの新規参入もそれに拍車をかけています。

サイトの運営業者と金融機関との事業連携も進んでいて、クラウドファンディングは近年、資金調達の新たな形として定着しつつあります。

2018年度の国内クラウドファンディング支援額(市場規模)新規プロジェクト支援ベースでは、いずれの累計(種類)でも支援額は増加を見込んでおり、2017年度比20.3%増の2044億円と予測されています。

種類別の市場シェア率

クラウドファンディングの市場内訳は、以下の通りです。

  • 貸付型(融資型) 90.2%
  • 購入型 5.9%
  • ファンド型 3.0%
  • 株式型 0.5%
  • 寄付型 0.4%

支援額の構成比が最も高いのは貸付型(ソーシャルレンディング)で全体の9割です。

一方で、サービス参入企業数と支援者数が最も多いのは購入型となっています。同じクラウドファンディングでも種類によって支援金額は大きく異なることが分かりますね。

国内クラウドファンディングの成功事例・失敗事例

成功事例

  • ①志村動物園で話題!東筑波ユートピアのイノシシ牧場建設

志村動物園の放送によって話題になっている東筑波ユートピアでのイノシシ牧場建設プロジェクトですが、14,202人が支援し、建設費に目標金額の145%である58,160,000円が集まりました。

目標金額以上に集まった資金は工期を早めるための建設スタッフ増員、動物たちの餌代もしくは他獣舎の補強などの施設の拡充に当てられるそうです。

リターンとしては1,000円の支援で①オリジナルビデオメッセージ、5,000円の支援で①+1日入場無料券、10,000円の支援で①+年間パスポートが貰えるそうです。

この動物園は6日連続で来園者がゼロだったこともあるなど、日本一客が来ない動物園と言われていて、最後のチャンスとしてクラウドファンディングを利用したそうです。

  • ②ふるさと納税×クラファンのガバメントクラウドファンディング(GCF)

GCFはふるさと納税制度を活用して行うクラウドファンディングであり、自治体が抱える問題を解決するためにふるさと納税の寄付金の使い道をより明確化し、それに共感した人から寄付を募る仕組みです。

例としては犬猫の殺処分ゼロを目指すプロジェクトや歴史的建造物を保護するプロジェクト、イベントの開催を支援するプロジェクトなど多岐にわたっています。

  • ③キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』の無料開催

お笑い芸人であり、絵本作家としても知られるキングコングの西野さんが自身の書いた絵本の個展を入場料無料で開催したいという理念で始めたクラウドファンディングです。

最終的にはパトロン数6257人、支援総額は目標金額の2576%である46,373,152円集まり、大成功に終わりました。

リターンは3,000円の支援でオリジナルトートバックや4000円でオリジナルポンチョのプレゼントなどでした。

失敗事例

  • ①サイクリングしながら発電と充電ができるガジェット『Atom』

Atomは自転車に乗りながら効率的に発電できる画期的なガジェットで、アメリカのKickstarterで1,000人以上から1,000万円以上を集めて製品化が実現しました。

日本では未発売であった『Atom』を日本展開するためのプロジェクトでしたが、パトロン数5人、目標金額の8%である87,500円しか集まらずに失敗に終わりました。

  • ②超小型ドローン『ZANO』

日本の事例ではありませんが、スマホと接続して写真や動画の撮影ができる超小型ドローン『ZANO』は開発費として、クラウドファンディングで4億円以上の資金を集めました。

しかし、完成予定を間近にして15,000台のオーダーに対して出荷されたのは600台のみであり、その600台すらも不備のものが多いものでした。

その結果、製作した会社は倒産してZANO本体が得られない他、現段階でも返金の目途が立っておりません。

クラウドファンディングの始め方!資金調達までの流れや出資の方法は?

基本的なクラウドファンディングの流れは共通しているので、以下では大まかな流れを説明します。

起案者(プロジェクトオーナー)の場合

  • 1.プロジェクトを考えて申請する

まずは、プロジェクトの大まかな内容を決め、クラウドファンディング運営業者に必要事項(目的・目標金額・リターンなど)を申請します。

  • 2.審査

次にクラウドファンディングサービスの運営業者による審査が行われます。

ここでは、業者により審査基準が異なることに注意が必要です。

  • 3.サイトにプロジェクトの掲載をする

審査に通過すると、プロジェクトの掲載ができるようになります。

公開ページにはプロジェクトに関する1500文字程度の文章と写真を5~6枚載せる必要があります。

ここで重要なのは、プロジェクトの内容は具体的で計画性のあるものにすべきということです。

内容は当然のことながら、写真によっても注目される度合いが異なるため、魅力的なものを掲載しましょう。

  • 4.資金集めをする

より多くの人に見てもらえるよう、SNSを積極的に活用するようにしましょう。

  • 5.目標金額の達成

資金が目標金額に届けばプロジェクトは成立したとみなされます。

集まった資金からクラファン運営業者の手数料を引いたものが使える資金になります。

  • 6.実際にプロジェクトを実行し、リターンを提供する

プロジェクトを進めていきながら、必要経費とは別に、支援者へのリターンも考慮する必要があります。

万が一、リターンが用意できない、遅延する、プロジェクトが実現できそうにない場合には支援者の方への丁寧な説明が必要不可欠になります。

支援者の場合

  • 1.支援するプロジェクトや企業を選ぶ

クラウドファンディングサイト上でさまざまなプロジェクトを閲覧し、プロジェクトの内容や理念、リターンなどから、自分が出資したいものを選びましょう。

  • 2.募集期間内にクラウドファンディングサイト上で支援(決済)する

大多数のクラウドファンディングサイトはクレジット決済が中心です。

これは、支援してもプロジェクトが不成立になって返金される可能性があることが理由のようです。

また、Makuakeをはじめとして銀行振り込みやコンビニ決済に対応するサイトも増えています。

  • 3.プロジェクトの進捗具合を定期的に確認する

募集期間が終了したら、プロジェクトは順調に進んでいるのか、リターンは本当に得られそうなのかを定期的に確認するようにしましょう。

以上、今回は仕組みを中心にクラウドファンディング全般についてご説明しました。

法律改正により規制が撤廃され、市場規模が近年大幅に拡大していることから、これからもクラウドファンディング市場は伸びていくと考えられます。興味がある方はこれを機にぜひはじめてみてはいかがでしょうか?

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