アルバイトについて調べていると、よく「103万円の壁」や「130万円の壁」という単語を目にしますよね。
なんとなく超えると損をするラインなんだろうなとはわかっているものの、いざ超えてしまうとどうなるのか、しっかり理解している学生さんは少ないように思われます。
所得税の課税条件と社会保険料の加入条件は混合しやすいので、その辺もしっかりとわかりやすく解説していきます。
せっかく一生懸命働いたのに損をしてしまった、なんてことにならないように今回はしっかりと社会保険の仕組みから理解していきましょう!
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そもそも社会保険とは!?どんな種類がある?
社会保険とは、国が国民の生活を保障するために設けられた公的な保険制度です。
そのため、A損保やB生保などの私企業が提供している保険サービスとは異なるので、注意しましょう。
私企業の保険サービスは自分のニーズや人生設計にあったものを選べば良い一方で、社会保険というのは、一定の給与水準や勤務時間の基準を満たした場合は加入が義務付けられます。
また、一口に社会保険といっても実は5つの種類があるのです。
・国民年金や厚生年金などの公的年金
・健康保険などの公的医療保険
・労災保険
・介護保険
・雇用保険
もし社会保険に加入するのであればどの保険がおすすめかは、後ほど紹介します!
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社会保険の加入条件を紹介!「130万円の壁」と「106万円の壁」との違いは!?
社会保険料を納めなければならなくなるには、いくつかの要件が定められています。
まずは130万円の壁を見ていきます!
「130万円の壁」の条件
収入が130万円を超えてから保険料を支払う必要があるのはどんな場合なのでしょうか。
条件は下の2つです。
- 「106万円の壁」の条件を満たさない
- 月収が10万8334円以上(年収130万円以上の見込み)
※月収に残業手当、通勤手当、賞与を含む
条件を満たした場合に加入するのが国民年金と国民健康保険です。
保険料は全額自分で負担する必要があります。
負担が大きいうえに保障内容も薄いため、加入するメリットは正直とても薄いです。
「106万円の壁」の条件
では「106万円の壁」の条件はどうなっているのでしょうか。
「106万円の壁」は以下のすべてを満たすこととなります。
- 正社員が501人以上の会社でパートをしている
- 収入が月8万8000円以上
- 雇用期間が1年以上の見込み
- 所定労働時間が週20時間以上
- 学生ではない
※収入に残業手当、通勤手当、賞与は含まない
条件を満たした場合に加入するのが厚生年金と企業の健康保険です。
この厚生年金と企業の健康保険の部分はとても重要です。負担は企業と折半で、加入することで将来の年金受取額が増え保障内容も手厚くなるからです。
最後の条件を見ると「学生ではない」という項目がありますよね。
ということで、学生のアルバイトでは「106万円の壁」ではなく、「130万円の壁」を気にしていればOKということになります。
パートの主婦の方などは「106万円の壁」の要件をチェックする必要があるので注意ですね。
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自分で社会保険料を支払うと負担はどのくらい!?
例えば、年間の収入が129.6万円から、ギリギリ130万円のラインに到達してしまったケースを考えてみます。
当たり前ですが、年間の収入は4000円増えています。
しかし、年収が130万円に達してしまったため、この人は社会保険料を支払わなければならなくなってしまいました。
社会保険料は毎月おおよそ2万5000円ほど納めることとなり、所得税や住民税と合わせると30万円ほどの負担額となってしまいます。
つまり、130万円のラインをほんの少し超えてしまうよりかは、130万円未満に抑えておく方がずっとお得になるのです!
ではいくら稼げばプラスになるの!?
「自分は130万円以上絶対稼げる!」「130万円のラインは簡単超えられるからどこまで稼げばプラスなの?」と思っている方もいるかもしれません。
先ほど紹介したように、収入が130万円を超えると年間で30万円ほどの負担がかかってきます。
そのため、130万円未満の時よりも多く収入を得るには、160万円〜170万円くらい稼がないとなりません。
つまり、130万円〜160万円ほどの年収だと働いた分が損することがあるのです。
年末や年度末になったら今年自分がいくら稼いでいるかをしっかり確認し、計画的な収入の管理をしていくことが大切になります。
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加入するなら絶対に厚生年金と企業健康保険がおすすめ!
ここまでみてきて、収入が130万円を超えると社会保険に加入する必要があることが分かりました。
ただ仮に社会保険に加入する場合には、絶対に厚生年金と企業の健康保険にすべきです。
厚生年金と企業健保の加入メリットを紹介します!
厚生年金と企業健保はメリットがたくさん
厚生年金と企業の健康保険料は会社との折半の負担になります。
厚生年金に加入すると将来貰える年金が増えます。
例えば20年間月8000円の保険料を納めると65歳からの年金が月9700円増えます。
この場合もし82歳まで生きる予定ならば収支がプラスになります。日本の女性の平均寿命は87歳なのでプラスになる確率は高いでしょう。
また万が一の時にも障害厚生年金を受け取れることができます。
企業の健康保険も病気やけがで働けなくなってしまっときに傷病手当金を受け取れます。
毎月の給料の3分の2を最長1年6か月受給できます。
また、出産のために産前産後休暇を取ったときに出産手当金を受け取ることもできます。
この場合も給料の3分の2が支払われます。
このようにしてみると手取りが減ってしまうものの、社会保険に加入するメリットもかなり大きいことが分かります。
学生のうちは年金の支払いを延期できる?学生納付特例制度とは?
一般に公的年金は20歳から60歳までの方が納付の対象となりますが、大学や大学院・短期大学などに通う学生の場合は、年金の納付時期を遅らせる「学生納付特例制度」を利用することも可能です。
この制度の利用するためには、所得に関する以下の条件があるので注意が必要です。
本人所得≦118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
一人暮らしをしているものの、住民票を移していないといった場合には自分のところに年金関係の書類が届かないので、一旦納付を先送りにしておくというのもおすすめです。
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まとめ
アルバイトで社会保険に加入することとなる条件や、実際に加入した時にどのくらい負担が増えるのかを今回は見ていきました。
繰り返しますが、130万円を大きく超えない場合は、年収を130万円未満に抑えておいたほうが得になります!
また、アルバイトの掛け持ちをしている場合には一箇所でしか年末調整をしてもらえないなど多少の不都合が生じてしまいます。
税金関係の手続きは遅れれば遅れるほど損になってしまうので、期日ギリギリに調べ始めるのではなく、早めからゆとりを持って手続きの準備をしておくようにしましょう!
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