2019年7月31日、アメリカの連邦準備理事会(通称FRB)が政策金利の引き下げを発表しました。
FRBや日本銀行などの国の政策が変更される時は株式市場を中心として経済が大きく変化します!
本記事では、FRBの金利の引き下げによってどのような影響があるのかをご紹介します!
「経済の知識に自信ないな…」という方でも分かりやすいようにまとめました!
気軽に最後までぜひ読んで見てください!
今回のFRBの利下げは何だったのか?
FRBの利下げの影響で私たちにどのような影響があるのかを確認する前に、もう一度今回のFRBの利下げがどのようなものだったのかもう少し詳しく確認して見ましょう!
アメリアのFRB(連邦準備理事会)は2019年7月31日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の政策金利の引き下げ、金利を2~2.5%にすることを決定しました。
FRBの利下げが行われるのは2008年12月以来約10年半ぶりでした。
10年半とは、とても長い期間利下げが行われていなかったのですね。
これはアメリカの景気拡大がそれほど長い期間続いたことを意味しています。
逆に言えば、アメリカの景気は最近10年半のうちで一番景気が減速してきているとの判断から利下げが行われたのでしょう。
このことから、アメリカの景気減速・後退が予感されますね。
そもそも FRB(連邦準備理事会)とは?
FRBって、普段ニュースなどでよく耳にするものの、何となくよくわからない…という方もいるのではないでしょうか?
FRBとは、アメリカの中央銀行で、日本でいう日本銀行のようなものです。
FRBは日本銀行と同じように国の景気の調整のために量的緩和や引き締め、金利誘導などを行なっています。
議長はパウエル氏が務めていて、このパウエル氏の発言やトランプ大統領との関係が次にどのような政策が行われるかの判断材料になります。
なので、日頃からパウエル氏の動向はニュースなどで注目しておいた方が良いでしょう!
もしかしたら、ビジネスや生活で活かせる機会があるかもしれません!
量的緩和・引き締めとは、市場に出回る通貨の量を調整することで、景気の調整を行う方法です。
具体的には国債の売り買いによって通貨の量を調整しています。
例えば、FRBが民間銀行から国債を買えば、国債の価格だけ民間銀行に支払い、新たに市場に通貨が流通します。
逆にFRBが民間銀行に国債を売ると、FRBは民間銀行から国債と交換に現金を受け取り、市場に流通する通貨の量が減ることになります。
市場に出回るお金の量が増えれば、投資に回されるお金の量も増え、経済が活発になります。
逆に、経済が加熱している時はFRBは国債を売って、市場に流通するお金の量を減らし、景気を引き締めます。
金利誘導とは、政策金利を高くしたり、低くすることで市場に出回るお金の量を調整する方法です。
政策金利とは、FRBや日本銀行のような中央銀行が、一般の市中銀行に融資する際の金利のことです。
政策金利が引き上げられると、中央銀行からお金を借りると多くの利子を払わなくてはいけなくなるので、一般の銀行は中央銀行からあまりお金を借りなくなります。
一般の銀行があまりお金を借りず、使えるお金の量が減れば投資などに回すお金も減りますね。そのため、政策金利の引き下げは景気の引き締め効果があります。
反対に政策金利が引き下げられると、あまり利子を払わなくてもお金を借りれるので、一般の銀行はより多くのお金を中央銀行から借りるようになります。
そうすると、銀行は投資などにも多くのお金を使うようになるので景気が刺激されます。
なぜ今回FRBは利下げをしたのか?3つの理由をご紹介!
今回のFRBの利下げは景気の減速を防ぐためだとされています。
では、なぜ景気の減速が懸念されているのでしょうか?
3つの理由をご紹介します!
①米中貿易摩擦
米中貿易摩擦とは、アメリカと中国が互いを政治経済的に牽制するために相手国からの輸入産物に対して高い税率の税金をかけることで、相手国からの輸入量を減らそうとする動きです。
このことによって、お互いの輸出量が減ってしまい、中国もアメリカも経済が悪くなってきています。
会社で言うと売り上げが減ってしまっているようなものですね。
②物価上昇率が目標値以下
経済がよくなっているかどうかの指標の一つに物価があります。
物価は一般的に景気が良くなると高くなり、景気が悪くなると低くなります。
FRBは目標物価上昇率を2%としていましたが、実際の物価は1.4%しか上昇しませんでした。
このことから、思っていたよりも景気が良くなっておらず、FRBは追加的な景気刺激策が必要であると考え、今回の利下げをしたようですね。
物価は景気をよく反映する指標ということで、「経済の体温計」とも言われます。
例えば、企業としては、値上げしても今までと同じ量が売れれば売り上げが増えますね。
売り上げが増えると従業員の給料を増やしたり、新たに投資をすることもできます。
そのため、物価の上昇は景気がよくなっているという兆候でもあります。
逆に、物価が低いということは値下げをしなければ消費者は物を買ってくれない状況です。
すると、企業の売り上げは減ってしまい、私たちの給料は低くなります。
そうすると余計に私たちは給料が少ないからと物を買わなくなります。
この状況を「デフレスパイラル」と言います。
このように物価が低いことはあまり景気が良くないことを表しています。
③海外経済の弱さ
海外経済の弱さも利下げ要因の一つです。
なぜ、海外経済が弱いとアメリカの景気を刺激しなくてはいけなくなるのでしょうか?
その答えはいたって単純です。
海外がアメリカの商品を買ってくれないからです。
海外の国の経済があまりうまくいっていなければ、景気が良くなっていないのにアメリカの物ばかり買っていられませんよね。
FRB利下げでどんな影響がある?国債、為替、株価の3つの視点から解説!
ここまで、「FRBの利下げはどういうものなのか?」「なんで利下げが行われたのか?」とういことを確認してきました。
では、実際に今回のFRBの利下げが経済にどのような影響があるのかを見ていきましょう!
今回は国債、為替、株価への影響を順番に追っていきましょう!
国債への影響
一般的に国債は金利の変化によって価格が以下のように変わります。
金利が上がる→国債価格が下がる
金利が下がる→国債価格が上がる
以上のように、金利と国債の価格の変化は逆の動きをします。
今回はなぜ、金利と国債価格が以上のような動きになるのかまでは解説しませんが、「金利と国債価格の上下の動きは逆になる!」ということをひとまず頭に入れておいてください!
今回は利下げが行われたので、国債の理論的には国債価格は上昇します。
為替への影響
本記事前半で取り上げたトピック「そもそもFRB(連邦準備理事会)とは?」で金利誘導政策について確認しましね。
そこで確認したように、政策金利が下げられると、民間銀行は中央銀行から安い金利でお金を借りれるので、多くのお金を借りることになり、結果的に市場に出回るお金の量が増えます。
今回はアメリカの中央銀行であるFRBが利下げを行なったので、市場にドル通貨が多く出回ったことになります。
市場に多くのドルが出回るようになると、他の通貨に比べてドル紙幣の1ドルあたりの価値が減少します。
すると、世界的にドル安が起きます。
具体的に言えば、円とドルの関係がドル安円高の方向に為替が変動することになります。
株価への影響
金利の引き下げによって市場にドル通貨がより多く流通するようになることは確認しましたね。
多くのお金が市場に流れ込めば、投資などの回されるお金も増え、株などの投資資産も買われます。
結果的に今回のFRBの利下げによってアメリカの株式市場は上昇するというのが経済的なセオリーです。
しかし、FRBの利下げ発表があった2019年7月31日の米株式市場はダウ平均株価が470ドル以上の大幅な下落が起きました。
これは、トランプ大統領が8月1日に追加関税対象外だった品目までも追加で10%の追加関税をかけることを発表したためです。
また、市場が「利下げは確実にあるだろう」と考えていた一方で、今回行われた利下げの利下げ幅0.25%が予想よりも少なかったことによるネガティブな印象による影響もあります。
市場参加者が「思ってたよりあんまり利下げされてないじゃん!」と思い、想定よりも株を購入する動機が弱まったことによる影響のようです。
逆に、日本の株式市場はどうなるでしょうか?
FRBの利下げによって、為替相場はドル安円高になるのでしたね。
為替相場が円高になると、海外に物が売れなくなるので、日本の企業の売上は減ってしまいます。
結果的に、日本の企業の株価は下がってしまいます。
このことから、今回のFRBの利下げによって日本の株式市場は下落すると言えます。
しかし、今後日本銀行もアメリカの利下げに追従して利下げを行なったり、アメリカの利下げによって増大した投資資金が日本の株式市場に流れ込むと、日本の株式市場も上昇する可能性があります。
今後のFRB、日本銀行の動向に注目!
FRBや中央銀行の利下げやその影響について分かっていただけたでしょうか?
FRBなどの中央銀行の政策は経済に大きな影響を与えます。
今後も引き続き、FRBや日本銀行の政策やその影響を日々のニュースで確認していくことをおすすめします!
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