【最新版】保育士の平均年収は382.2万円!年齢・都道府県・働き方別の年収も公開

「保育士は年収が低い」

保育士に対して、このようなイメージを持っている方も少なくないでしょう。

しかし、実際には保育士の給料はどのくらいなのでしょうか?そして、今後はどのようになっていくのでしょうか?

この記事では、保育士の収入事情を、日本の平均と比較しながら徹底的に深掘りしていきます。今後保育士の収入は上がるのか、収入をアップさせるための方法などもご紹介しています。

是非最後まで見ていってくださいね。

保育士の平均年収は382.2万円!

保育士の全国平均年収

保育士 収入

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は約382万円(平均年齢38.1歳)となっています。計算方法は以下の通りです。

年収
=所定内給与額(月収)×12ヶ月+賞与等(ボーナス)
=25万6,500円×12ヶ月+74万4,000円
=382万2,000円

また、国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は433万円となっているため、保育士の年収は日本の平均を少し下回る結果となっています。

ここからは、保育士の年収を項目別に見ていきます。

【男女別】保育士の年収

保育士の男女別での年収は以下のようになっています。

約420万円約380万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※年収は「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出。

男女ともに日本の平均を下回っているものの、男女間では40万程度の差が生まれていることが分かります。

【年代別】保育士の年収

保育士の年代別での年収は以下のようになっています。

20~24歳約305万円
25~29歳約354万円
30~34歳約373万円
35~39歳約397万円
40~44歳約388万円
45~49歳約413万円
50~54歳約428万円
55~59歳約412万円
60~64歳約373万円
65~69歳約363万円
70歳~約421万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※年収は「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出。

保育士の年収は20代から徐々に上昇していき、50代半ばをピークにして下がっていくような結果になっています。

【都道府県別】保育士の年収

保育士の都道府県別での年収は以下のようになっています。

全国382.2万円
北海道361.0万円
青森県377.2万円
岩手県390.4万円
宮城県329.4万円
秋田県347.7万円
山形県365.6万円
福島県315.8万円
茨城県351.2万円
栃木県345.4万円
群馬県389.3万円
埼玉県368.5万円
千葉県415.2万円
東京都448.2万円
神奈川県391.3万円
新潟県437.6万円
富山県355.3万円
石川県375.1万円
福井県336.6万円
山梨県343.8万円
長野県393.7万円
岐阜県353.1万円
静岡県346.0万円
愛知県438.2万円
三重県321.4万円
滋賀県371.7万円
京都府408.1万円
大阪府387.8万円
兵庫県370.7万円
奈良県433.5万円
和歌山県346.6万円
鳥取県321.1万円
島根県307.5万円
岡山県351.8万円
広島県415.9万円
山口県366.7万円
徳島県345.4万円
香川県336.5万円
愛媛県328.9万円
高知県359.9万円
福岡県353.7万円
佐賀県370.0万円
長崎県363.4万円
熊本県349.7万円
大分県398.3万円
宮崎県349.2万円
鹿児島県349.4万円
沖縄県326.9万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※年収は「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出。

都心付近では全国平均を超える400万円台の都道府県もあるため、都心に近づくほど年収が上がる傾向があると言えます。

保育士の生涯年収は1億5000万円!

先ほどご紹介した年代別の年収をもとに、保育士の生涯年収を計算してみました。

大学卒業後23歳から60歳までの38年間働くと仮定すると、

生涯年収
=305万円×2年+(354万円+373万円+397万円+388万円+413万円+428万円+412万円)×5年+373万円×1年
=1億4,808万円

となりました。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表している「ユースフル労働統計2021 ―労働統計加工指標集―」によると、大学・大学院卒業後60歳までフルタイムの正社員を続けた場合、日本の平均的な生涯年収は男性が2億7,000万円、女性が2億2,000万円となっています。(退職金は含みません。)

上記を踏まえると、保育士の生涯年収は男女ともに平均を下回っていると言えます。

働き方によって保育士の年収は大きく異なる!

保育士の平均的な年収をお伝えしてきましたが、実は働き方や働く場所によって収入が大きく変わることもあります。

ここからは、そういった「働き方による収入の違い」をいくつかご紹介します。

公立保育士・私立保育士の違い

保育士には、公立保育士私立保育士の2種類があります。

公立保育士とは、都道府県や市区町村が設置する保育施設で働く保育士のことです。公立保育士は、地方自治体が主催する保育士採用試験に合格した「地方公務員」でもあるため、公務員保育士とも呼ばれています。

一方私立保育士は、株式会社やNPO法人など自治体以外の団体が運営している保育所で働く保育士のことです。

公立保育士と私立保育士の収入の違いは以下のようになっています。

職種(常勤)公立私立
月収年収月収年収
施設長632,982円約758万円565,895円約678万円
主任保育士561,725円約673万円422,966円約506万円
保育士303,113円約363万円301,823円約361万円

※出典:厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
※「月収」の金額は、平成31年3月分の月額給与。常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が 含まれる。

公立保育士の方が私立保育士よりも年収が高くなっていることが分かります。

また、役職のない保育士よりも、役職を持った主任や施設長などの保育士の方が役職手当によって年収が高いことも見て取れます。

地方公務員の平均年収についてもっと詳しく知りたい方は下のリンクから!

施設形態による違い

保育所には様々な施設形態があり、それぞれ収入にも差があります。

ここからは、以下にあげる施設の収入事情をご紹介します。

  • 認定こども園
  • 家庭的保育事業
  • 小規模保育事業
  • 事業内保育事業

【認定こども園(私立・公立)】の給料

認定こども園とは、幼稚園の機能(教育)と保育園の機能(保育)の両方を兼ねている施設を指します。

0歳から小学校就学前までの子どもを預かる施設で、幼稚園・保育園に比べて預かる時間が長いことが特徴です。

職種(常勤)私立公立
園長556,400円618,928円
副園長462,597円602,086円
教頭395,512円556,730円
主幹保育教諭375,965円514,214円
指導保育教諭336,739円455,717円
保育教諭279,954円287,181円
助保育教諭235,921円163,080円

※出典:厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
※上記の金額は、平成31年3月分の月額給与。常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が 含まれる。

【家庭的保育事業(私立)】の給料

家庭的保育事業とは、3歳未満の子どもを対象に、保育者の自宅や保育室で行われる少人数制の保育サービスを指します。

職種(常勤)私立
家庭的保育者358,988円
家庭的保育補助者232,892円

※出典:厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
※上記の金額は、平成31年3月分の月額給与。常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が 含まれる。

【小規模保育事業(私立)】の給料

小規模保育事業とは、0~2歳児を対象とした、比較的小規模な保育サービスです。A・B・C型の3つに分かれており、それぞれ資格を持っている人の割合が異なっています。

A・B型

職種(常勤)小規模保育事業(A型)小規模保育事業(B型)
管理者342,861円362,007円
主任保育士303,289円309,912円
保育士268,755円269,617円
保育補助者
(無資格者)
235,183円231,115円

※出典:厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
※上記の金額は、平成31年3月分の月額給与。常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が 含まれる。

C型

職種(常勤)小規模保育事業(C型)
管理者346,466円
家庭的保育者291,775円
家庭的保育補助者250,117円

※出典:厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
※上記の金額は、平成31年3月分の月額給与。常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が 含まれる。

【事業内保育事業(私立)】の給料

事業内保育事業とは、企業で働く従業員の子どもを預かる保育園を指します。企業の中や近くに設置され、「企業内保育所」とも呼ばれています。

職種(常勤)事業内保育事業(A型適用)事業内保育事業(B型適用)事業内保育事業(20人以上)
管理者341,691円323,546円352,212円
主任保育士266,081円266,264円355,918円
保育士238,168円264,238円269,782円

※出典:厚生労働省「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の 経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
※上記の金額は、平成31年3月分の月額給与。常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が 含まれる。

経験年数による違い

保育士の年収は経験年数によっても変わります。

0年1~4年5~9年10~14年15年~
約264万円約333万円約357万円約381万円約438万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※年収は「所定内給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出。

保育士の年収は、経験年数0年で約264万円、1~4年で約333万円、5~9年で約357万円、10~14年で約381万円、15年~で約438万となっており、経験年数が上がるにつれて収入も増えていることが分かります。

正社員とアルバイトの違い

保育士は、正社員の他に、アルバイトやパートとして働くこともできます。

そこで、正社員とアルバイトの保育士の年収を比較してみると、以下のようになりました。

正社員保育士アルバイト保育士
約382万円約136万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※正社員の年収は「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出。

アルバイトとして働く保育士の年収は、以下の計算方法で算出しました。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の短時間労働者(アルバイト)の労働事情は、

  • 平均時給:1197円
  • 1日あたりの平均労働時間:5.5時間
  • 1ヶ月あたりの労働日数:16.2日
  • 年間賞与(ボーナス)等:8万7,400円

となっているので、

アルバイトの年収
=1197円×5.5時間×16.2日×12ヶ月+8万7,400円
=136万7232.4円

という結果になりました。

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の非正規雇用者(アルバイトやパートなど)の平均年収は176万円です。

そのため、保育士がアルバイトとして働くと平均を少し下回る年収になることが分かります。

ただし、上記は全て平均値なので、実際の収入と大きく異なる場合がございます。

保育士の給料は低い?これからどうなる?

これまで保育士の収入事情を見てきましたが、正社員・アルバイト共に、日本の平均値を下回る傾向にありました。

しかし、最近では保育士の待遇を改善する動きもあり、それによって保育士の給料は徐々に上がっています。

ここからは、そうした保育士を支援する制度についてご紹介していきます。

保育士を支援する「処遇改善等加算」という制度

保育士は重労働・低賃金というイメージがある方もいるかもしれません。

実際、東京都福祉保健局が公開している「平成25年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」では、全回答者の4分の1以上の人が「給料が安い」という理由で保育士を退職しています

そこで、保育士の待遇を改善するために2015年から実施されたのが「処遇改善等加算」という制度です。処遇改善とは、端的にいうと「給料アップ」を指します。

実際に、この「処遇改善等加算」によって、保育士の給料は年々上がっています(下図参照)。

調査年保育士の年収
2015年323万円
2016年327万円
2017年342万円
2018年358万円
2019年364万円
2020年374万円
2021年382万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※「保育士の年収」は、「賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」における各年6月の月収と前年の賞与から算出。

処遇改善等加算にはⅠとⅡの2種類あります。ここからは、それぞれの違いや特徴を解説していきます。

処遇改善等加算Ⅰ(保育士の賃金改善が目的!)

  • 2015年から実施
  • 全ての職員が対象
  • 保育士の賃金改善が目的
  • 3要素「基礎分」「賃金改善要件分」「キャリアパス要件分」から構成

2015年から実施された「処遇改善等加算Ⅰ」は、施設の平均勤続年数や園児数などに応じて加算率が変わる制度です。常勤・非常勤、正社員・アルバイトに関係なく、全ての職員が対象になります。

処遇改善等加算Ⅰは、以下の3要素からなっています。

基礎分

職員1人あたりの平均勤続年数に応じて加算される金額分です。
元の給料に2~12%上乗せされることになっています。

賃金改善要件分

賃金水準に対して改善を行った施設に対して加算される金額分です。
勤続年数が11年未満の場合は6%、11年以上の場合は7%、元の賃金に上乗せされます。

キャリアパス要件分

以下に挙げるようなキャリアアップの要件を満たした際に加算される金額分です。

  • 職員の役職や仕事内容に応じた勤務条件の設定
  • スキルアップのための研修機会の確保 など

キャリアパス要件分は賃金改善要件分の一部なので、キャリアパス要件を満たさない場合、賃金改善要件分から2%マイナスされることになります。

※出典:内閣府「施設型給付費等に係る処遇改善等加算Ⅰ及び処遇改善等加算Ⅱについて

処遇改善等加算Ⅱ(保育士のキャリアアップが目的!)

  • 2017年から実施
  • 管理職以外の職員を対象
  • 若手・中堅保育士のキャリアアップが目的

2017年から実施された「処遇改善等加算Ⅱ」は、キャリアアップの体制と賃金体制を同時に整える制度を指します。

もともと保育士の役職は園長や主任などに限られており、若手や中堅保育士のキャリアアップ・給料アップが叶いにくい環境でした。

そこで、一定の実務経験を積んだ職員を対象として、新しく役職を設定し、保育士のキャリアアップを支援しているのがこの「処遇改善等加算Ⅱ」という制度です。

実際に、以下に挙げる役職が追加されました。

職務分野別リーダー

下記の要件を満たすと就任できます。
また、職務分野別リーダーは月額5000円の処遇改善の対象です。

  • 約3年以上の経験年数
  • 6つの専門分野のうちいずれかの研修を修了
  • 職務分野別リーダーとしての発令を受ける

専門リーダー

下記の要件を満たすと就任できます。
また、専門リーダーは月額4万円の処遇改善の対象です。

  • 約7年以上の経験年数
  • 職務分野別リーダーを経験
  • 4分野以上の専門研修を修了
  • 専門リーダーとしての発令を受ける

副主任

下記の要件を満たすと就任できます。
また、副主任も月額4万円の処遇改善の対象です。

  • 約7年以上の経験年数
  • 職務分野別リーダーを経験
  • マネジメント+3分野以上の専門研修を修了
  • 副主任としての発令を受ける

※出典:施設型給付費等に係る処遇改善等加算Ⅰ及び処遇改善等加算Ⅱについて」,内閣府「技能・経験に応じた処遇改善等加算Ⅱの仕組み

保育士が給料をアップさせる2つの方法

①:関連資格を取る

保育士の業務に役に立つような資格を持っていると、「資格手当」をもらえることがあります。

関連資格の例として、以下のようなものがあります。

絵本専門士
絵本に関する知識・技能・感性を備えた絵本の専門家。

ベビートイ・インストラクター
子どものためのおもちゃの選び方や正しい使い方についての専門家。

運動保育士
子どもの発達段階に合わせた運動・遊びを提供する専門家。

出典:国立青少年教育振興機構「絵本専門士とは」,日本知育玩具協会「ベビートイ・インストラクター養成講座」,運動保育士会「資格認定

②:経験年数を積み、昇給・昇格する

経験年数を積むことも給料アップのための方法の1つです。

先ほどご紹介したように、現在では保育士の活動を支援する制度が進められています。

そのため、一定の経験年数を積むと給料が上乗せされたり、役職に就くと役職手当をもらうことができ、給料アップが期待できるのです。

まとめ

ここまで保育士の給料事情についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

保育士の給料は平均に比べて低い傾向がありますが、現在では国や自治体などによって、保育士の給料をアップさせる仕組み作りが積極的に進められているのです。

また、一口に保育士といっても働き方は多岐にわたります。お金だけでなく、働く環境や自分のキャリアプランなどを考慮した上で、自分に合った働き方を見つけることが最も重要です。

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