教師(小学校〜高校)の平均年収はどれくらい?仕事内容やなるための方法も解説

教師 平均年収

「教師の給料は実際どれくらい?」

「どうしたら教師になれるの?」

「手当や福利厚生にはどんなものがある?」

このページを開いた方は、「教師」ついて上のような疑問を持ったことがある方もいるでしょう。

教師という職業は、年収や働き方が幅広く、イメージがつきづらいかもしれません。

この記事では、以下のことを解説しています。

  • 小・中・高校教師の平均年収
  • 教師がもらえる福利厚生、手当
  • 教師の仕事内容
  • 実際に教師として働く人の口コミ
  • 教師になる方法
  • 教師についてよくある質問

教師を目指している方も、ただ興味がある方も、知りたい情報が詰まっている記事になります!

ぜひ最後まで見ていってくださいね。

その他の年収事情について知りたい方は下のリンクから。

まずは知っておきたい!教師の給料・ボーナスの決まり

まずは、教師の給料やボーナスはどのように決まるのか、どのような手当がもらえるのかについて解説していきます。

実際の教師の年収事情が気になる方は、この後の「教師(小・中・高)の平均年収まとめ」という章をご覧ください!

①:基本給はあらかじめ決められている

  • 公立校の給料は「級」と「号級」によって決まる。
  • 私立校の給料は学校により異なる。

公立校の教師は公務員であるため、「級」と「号給」という2つの指標によってあらかじめ基本給が決められています

「級」とは仕事内容の複雑さや責任の重さに応じた区分のことで、級が上がることを「昇格」と言います。

「号給」とは経験年数によって級をさらに区分したもののことで、号級が上がることを「昇給」と言います。

公立校の教師の給料はこれら2つよって決められており、給料は年功序列で上がっていきます。

一方、私立校はそれぞれの学校法人が運営しているため、給料は様々です。

しかし、多くの私立校は公立校の給料体系を採用しており、私立と公立では教師の給料に大差がありません。

実際に、公益社団法人私学経営研究会の公開した「私学の賃金・有期雇用・定年・再雇用に関するアンケート調査報告書」によると、私立の高校教師のうち約8割(回答数388中311)が「年功給中心」と答えており、私立校の教師も基本的には年功序列で昇給していくと考えられます。

②:ボーナスは年2回支給される

  • ボーナス=期末手当+勤勉手当
  • 6月30日頃12月10日頃に支給される
  • 給与の4.3ヶ月分支給される

ボーナスとは何か?

教師のボーナスとは、期末手当」と「勤勉手当という2つの手当の合計を指します。

期末手当:在職期間に応じて支給
勤勉手当:勤務成績に応じて支給

いつ支給される?

公務員のボーナスは6月30日頃12月10日頃の年2回に分けて支給されます。

いくら支給される?

人事管理を担当する行政機関である人事院が、毎年8月に「人事院勧告」というものを行い、基本給の何ヵ月分をボーナス額とするかを確定します。

ボーナスの計算方法は以下のようになっています。

ボーナス=(基本給+地域手当+扶養手当)×4.3ヶ月分

人事院「給与勧告の骨子

教師(小・中・高)の平均年収まとめ

ここからは、公立の小・中・高校の教師の平均年収をそれぞれご紹介した上で、【年代別・都道府県別・経験年数別】といった項目別に教師の平均年収を見ていきます。

小・中学校教師(公立)の平均年収:約673万円

平均給料月額352,099円
諸手当月額57,328円
年間ボーナス約176万円
平均年収約667万円

※出典:総務省「令和3年地方公務員給与実態調査結果等の概要」,人事院「給与勧告の骨子

平均年収は、以下のような計算により求めました。

人事院の資料より、公務員のボーナスは(月給+手当)×4.3ヶ月分として計算しています。

(平均給料月額+諸手当月額)×12ヶ月+ボーナス(4.3ヶ月分)

=(352,099円+57,328円)×12ヶ月+約176万円

=約667万円

高校教師(公立)の平均年収:約714万円

平均給料月額371,612円
諸手当月額62,537円
年間ボーナス約186万円
平均年収約707万円

※出典:総務省「令和3年地方公務員給与実態調査結果等の概要」人事院「給与勧告の骨子

平均年収は、以下のような計算により求めました。

人事院の資料より、公務員のボーナスは月給+手当の4.3ヶ月分として計算しています。

(平均給料月額+諸手当月額)×12ヶ月+ボーナス(4.3ヶ月分)

=371,612円+62,537円×12ヶ月+約186万円

=約707万円

小・中・高校教師の平均年収をお伝えしてきましたが、大学教授の年収事情についての記事も公開しているので、気になる方は下のリンクからどうぞ!

大学教授の年収はいくら?国立・私立別収入ランキングを発表!

【年代別】教師(私立・公立)の平均年収

小・中学校と高校に分けて、教師の年代別の平均年収をご紹介します。

小・中学校教師高校教師
20~24歳約331万円約337万円
25~29歳約461万円約431万円
30~34歳約557万円約552万円
35~39歳約669万円約659万円
40~44歳約730万円約747万円
45~49歳約813万円約803万円
50~54歳約883万円約861万円
55~59歳約933万円約922万円
60~64歳約847万円約754万円
65~69歳約750万円約664万円
70歳~約464万円約644万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

小・中学校、高校共に、年齢が上がるほど教師の年収が上がっていく「年功序列」であることが分かり、50代後半が年収のピークになっています。

上記の数値では、小中高で教師の年収に大差はありません。

【都道府県別】教師(私立・公立)の平均年収

次に、教師の都道府県別の平均年収を見ていきます。

小・中学校教師高校教師
北海道589.7万円687.3万円
青森県410.6万円
岩手県491.4万円460.3万円
宮城県562.4万円
秋田県711.0万円617.4万円
山形県729.1万円493.6万円
福島県550.6万円581.2万円
茨城県493.4万円717.6万円
栃木県572.9万円629.5万円
群馬県602.4万円601.4万円
埼玉県617.4万円666.8万円
千葉県626.1万円682.3万円
東京都785.4万円834.4万円
神奈川県764.8万円689.0万円
新潟県695.9万円462.0万円
富山県610.9万円533.8万円
石川県245.2万円464.2万円
福井県591.0万円626.1万円
山梨県521.9万円627.8万円
長野県458.9万円635.4万円
岐阜県634.8万円642.9万円
静岡県635.5万円657.5万円
愛知県781.0万円730.4万円
三重県618.9万円677.5万円
滋賀県550.9万円607.6万円
京都府822.2万円827.3万円
大阪府733.2万円721.7万円
兵庫県729.9万円750.9万円
奈良県730.4万円659.5万円
和歌山県662.6万円796.2万円
鳥取県327.2万円533.8万円
島根県560.5万円469.4万円
岡山県536.4万円578.3万円
広島県678.1万円708.4万円
山口県673.8万円497.9万円
徳島県601.6万円463.3万円
香川県585.6万円530.6万円
愛媛県692.1万円487.8万円
高知県725.2万円653.2万円
福岡県657.1万円606.5万円
佐賀県583.4万円576.2万円
長崎県586.1万円557.6万円
熊本県372.0万円555.4万円
大分県669.1万円633.0万円
宮崎県564.3万円470.6万円
鹿児島県520.5万円489.6万円
沖縄県494.6万円581.3万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
※平均年収の最大値は赤字、最小値は青字で表し、データの無い都道府県については「-」で表しています。

小・中学校教師の平均年収について、最大値は京都府の822.2万円最小値は石川県の245.2万円となりました。

高校教師の平均年収については、最大値は東京都の834.4万円、最小値は青森県の410.6万円となりました。

【経験年数別】教師(私立・公立)の平均年収

0年1~4年5~9年10~14年15年~
小・中学校教師約489万円約509万円約566万円約701万円約846万円
高校教師約381万円約440万円約553万円約700万円約823万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
※上記数値は、「所定内給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

小・中学校、高校共に、経験年数が上がるほど教師の年収が上がっていることが分かります。

教師の生涯年収

先ほどご紹介した【年代別】教師(私立・公立)の平均年収をもとに、小・中学校教師と高校教師の生涯年収をそれぞれ算出してみました。

小・中学校教師の生涯年収

「大学卒業後23歳から60歳まで働く」と仮定すると、

小・中学校教師の生涯年収

=331万円×2年+(461万円+557万円+669万円+730万円+813万円+883万円+933万円)×5年+847万円×1年

=2億6741万円

となりました。

高校教師の生涯年収

こちらも「大学卒業後23歳から60歳まで働く」と仮定すると、

高校教師の生涯年収

=337万円×2年+(431万円+552万円+659万円+747万円+803万円+861万円+922万円)×5年+754万円×1年

=2億6303万円

となりました。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表している「ユースフル労働統計2021 ―労働統計加工指標集―」によると、

大学・大学院卒業後60歳までフルタイムの正社員を続けた場合、日本の平均的な生涯年収は男性が2億7,000万円、女性が2億2,000万円となっています。(退職金は含みません。)

上記を踏まえると、教師の生涯年収は平均的であると言えます。

教師の福利厚生

教師が取得できる福利厚生や手当には、以下のようなものがあります。

福利厚生

  • 医療費の給付制度
  • 事故や怪我の補償制度
  • 祝金・見舞金などの給付制度
  • 定期健康診断・人間ドックなどの受診補助制度
  • 施設の割引制度(スポーツクラブ、ホテル、温浴施設など)

東京都公立学校教員採用ポータルサイト「仕事や働き方」

手当

給料の調整額対象:特別支援学校に勤務する教員・小中学校の特別支援学級担任の教員
教職調整額対象:校長、教頭を除く教員
給料×4%
義務教育等教員特別手当教員の給料や階級によって支給額が決まる。
非常災害時等の緊急業務


【児童生徒の保護/防災・復旧業務】
8時間程度の業務で日額3200円
【児童生徒の救急業務】
8時間程度の業務で日額3000円
【児童生徒の補導業務】
8時間程度の業務で日額3000円
修学旅行等指導業務8時間程度の業務で日額1700円
対外運動競技等引率指導業務8時間程度の業務で日額1700円
部活動指導業務4時間程度の業務で日額1200円
入学試験業務8時間程度の業務で日額900円
多学年学級担当手当対象:2学年以上の指導を担当する教員
日額290円
主任手当日額200円
管 理 職 手 当対象:学校の管理職(校長、副校長等)に就く教員
校長12-16%、 教頭10-12%,部主事8%
管理職員特別勤務手当対象:休日に勤務した校長・教頭・部主事
日給4000-8000円
へき地手当対象:交通条件に恵まれない山間地や離島などに所在する学校に勤務する教員
教員の給料や階級によって支給額が決まる。
地域手当勤務する地域に応じて支給
期末・勤勉手当(ボーナス)期末手当:在職期間に応じて支給
勤勉手当:勤務成績に応じて支給
年2回(6月・12月)に支給
定時制通信教育手当対象:定時制教育・通信教育に携わる教員
その他扶養手当・通勤手当・単身赴任手当など

※出典:中央教育審議会「教員の手当一覧」,東京都教育委員会「教員の給与制度

授業だけじゃない!教師の仕事内容は多岐にわたる

教師の主な仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 授業
  • 教材研究
  • PTA活動
  • 保護者面談
  • 部活動の監督
  • 教育環境の整備
  • 学校行事の参加
  • 児童の出欠席の調査
  • 地域社会への協力活動
  • 教育・指導計画の作成
  • 給食・清掃に関する指導
  • 集団の健康管理・保健指導
  • いじめ・不登校問題への取り組み

※出典:職業情報提供サイト(厚生労働省)「小学校教員」「中学校教員」「高等学校教員

このように、教師には授業以外にも多くの業務を担っています。

また、中高生は青年期にあたるため、学習指導だけでなく精神面での指導も重要になってきます。

教師として働くことのやりがいとは?

教師は、あらかじめ決められた給料で非常に多くの業務をこなしています。

そのため、業務量ともらえる給料にギャップを感じている教師も少なくないと考えられます。

では、そういった教師という職業のやりがいは何なのでしょうか?

ここで、Twitterで#小学校教員はいいぞ #中学校教員はいいぞ #高校教員はいいぞ というハッシュタグをつけて投稿されていたツイートをご紹介します。

とっても微笑ましいですよね…!

これらを見ると、教師という職業のやりがいは、「楽しい感情、悲しい感情を共有できること」「子どもと一緒に成長を実感できること」だと言えるでしょう。

責任の重さを実感しつつも、子どもに囲まれる中で、それぞれ教師として働くことのやりがいを見出していることが分かります。

小・中・高校教師になるための2つのステップ

  1. 教員免許を取得する。
  2. 教員採用試験に合格する。

では、1つ目から順に見ていきましょう。

①:教員免許を取得する

教師になるには、教員免許を取得したのちに、教員採用試験を受けるというのが一般的なルートです。

ここでは、「教員免許の種類」と「教員免許の取り方」の二つに分けて解説していきます。

①-1 教員免許の種類

教員免許は、大学などで決められた単位数を取った後、都道府県教育委員会に申請することで取得できます。教員免許には以下の3種類があります。

普通免許状
代表的な教員免許状。
(有効期間:10年)

特別免許状
特定分野で優れた知識を持つ人のみが取得できる免許状。
(有効期間:10年)

臨時免許状
普通免許状を持っている人を採用できない場合に限り臨時的に授与される免許状。助教授や養護助教授として働くことができる。
(有効期間:3年)

通常、「教員免許」とは普通免許状を指します。普通免許状は、さらに以下の3つに分類されます。

  • 一種免許状
  • 二種免許状
  • 専修免許状

一種免許状は大学で教職課程をとると取得でき、二種免許状は短期大学で教職課程をとると取得でき、専修免許状は大学院で修士号をとると取得することができます。

それぞれの普通免許状で目指せる教師は下の表のようになっています。

一種免許状二種免許状専修免許状
小・中学校教師
高校教師×

小・中学校の教師になるためには、一種免許状・二種免許状・専修免許状のいずれかが必要になり、高校教師になるためには、一種免許状・専修免許状のいずれかが必要になります。

二種免許状では高校教師になることはできない点に注意が必要です。

①-2 教員免許の取り方

このように、教員免許には様々な種類がありますが、教員免許の取り方には大きく分けて3つの方法があります。

  1. 教職課程をとる
  2. 教員資格認定試験に合格する
  3. 特別免許状をとる

1.大学などで教職課程をとる

教員免許をとる方法の中で最も一般的です。

教育実習を通して実践的な学習ができる点にメリットがあります。

在学中の学生はもちろん、過去に教職課程をとりきれず卒業してしまった社会人でも、大学に再入学することで教職課程を経ることができます。

2.教員資格認定試験に合格する

教員資格認定試験とは文部科学省が年に一度実施している試験です。

合格すると、大学で単位を取らなくても幼稚園教諭二種免許状小学校教諭二種免許状特別支援学校自立活動教諭一種免許状のいずれかを取得することができます。

3.特別免許状を取る

先ほどご紹介したように、特別免許状とは「優れた知識・経験を持つ社会人に専門的知識をいかしてもらうための免許状」です。

そのため、大学で教職課程をとる必要はなく、社会人であっても、都道府県の教育委員会の実施する「教育職員検定」に合格することで免許状を取得できます。

出典・参考:文部科学省「教員免許状に関するQ&A

②:教員採用試験に合格する

教員免許を取得したところで、ようやく教員採用試験を受けることができます。

採用試験のスケジュールは公立と私立で異なります。

公立学校の採用試験

公立学校の教員採用試験は年に一度、各都道府県・指定都市教育委員会によって行われます。

試験のスケジュール例は以下のようになっています。

  • 3~4月 募集要項の配布開始、ホームページ掲載
  • 5~6月 出願受付
  • 7月 第1次試験
  • 8月 第2次試験
  • 10月 合格発表、採用内定
  • 翌年4月1日 採用

出典:文部科学省「教員免許状に関するQ&A

一次試験では筆記や面接、二次試験では筆記・面接・実技試験などが行われます。

直近5年間の採用倍率は以下のようになっています。

実施年度合格率[%]
令和3年度26.1
令和2年度25.3
令和元年度23.5
平成30年度20.5
平成29年度19.2

数年前は20%前後でしたが、近年では25%前後にまで上がっていることがわかります。

私立学校の採用試験

私立学校の教員採用試験は、学校を運営する法人ごとに行われます。

そのため、スケジュールや試験内容などは学校によって様々となっています。私立学校の教師を目指す人は、事前に採用情報を調べておく必要があります。

教師についてよくある質問Q&A

Q1.副業はできる?

A.公立学校の常勤講師は基本的に副業禁止、私立学校はそれぞれの学校によります。
公立学校常勤×(基本的には禁止)
非常勤
私立学校常勤△(学校の規定による)
非常勤

※参考:e-gov法令検索(厚生労働省)「地方公務員法 第三十八条」、「教育公務員特例法 第十七条

公立学校の常勤教師については、副業が基本的に禁止されています(地方公務員法38条)。

ただし、「基本的に」とあるように、市町村の教育委員会から許可を受けた場合に限り、副業を行うことができます(教育公務員特例法17条)。

また、公立学校の非常勤教師は「特別職地方公務員」という扱いになり、上記の法律は適用されません。そのため、副業は認められています。

一方、私立学校の教師については、運営元が国ではなく学校法人なので、それぞれの学校の規定によって決まります

Q2.残業代は出る?

「残業代」は出ないが、「教職調整額」が支給されます(公立学校)。 

公立学校については、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)が適用されます。

この給特法では、以下の2点がポイントです。

  1. 時間外勤務手当は支払われない
  2. 代わりに、月額給与の一律4%が教職調整額として支払われる。

よって、教師に「残業代」は支払われず、教師がどれだけ残業をしたとしても給与の4%が決まって支給されることになります。

教師の働き方が民間企業に比べて特殊であることから制定されたこの「給特法」ですが、現在では教師の長時間労働の原因になっているとして問題にもなっています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

お金のカタチでは、他にも様々な職業の平均年収や仕事内容などをご紹介しています。

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