保健師の平均年収は480.7万円!仕事内容・必要な資格・収入アップについても解説

保健師 平均年収 資格

「そもそも保健師って何?」

「年収はどれくらいなの?」

「看護師の年収とどれくらい違うの?」

「どうやったら保健師になれるの?」

このサイトを訪問してくださった方は、上のような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、

  • 保健師の平均年収
  • 保健師の生涯年収
  • 他の医療従事者との年収の違い
  • 保健師の働き方・仕事内容
  • 保健師になる具体的な方法

などを解説しています。

保健師に興味がある方から、保健師を目指している方まで、幅広く役立つ情報をまとめています

ぜひ最後まで見ていってくださいね。

保健師の平均年収は480.7万円!

保健師 平均年収

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、保健師の平均年収は480.7万円(平均年齢41.8歳)でした。

平均年収は以下の方法で計算しています。

保健師の平均年収

=きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額

=323,800円×12ヶ月+920,900円

=4,806,500円

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は433万円となっているため、保健師の平均年収は日本の平均を50万円ほど上回っています

その他の医療従事者の年収事情が気になる方は下のリンクからご覧いただけます。

【男女別】保健師の平均年収

494.7万円479.6万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

保健師の平均年収における男女差は約20万円となっています。

また、厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、保健師のうち約97%は女性、残りの約3%が男性となっており、女性の数が圧倒的に多くなっています

【年代別】保健師の平均年収

年代別の保健師の平均年収は以下のようになっています。

20~24歳約398万円
25~29歳約410万円
30~34歳約396万円
35~39歳約486万円
40~44歳約522万円
45~49歳約494万円
50~54歳約574万円
55~59歳約550万円
60~64歳約355万円
65~69歳約277万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

保健師の平均年収は50代でピークを迎え、それ以降は徐々に下がっています。

【都道府県別】保健師の平均年収

都道府県別の保健師の平均年収は以下のようになっています。

北海道391.5万円
青森県490.9万円
岩手県419.7万円
宮城県778.3万円
秋田県470.2万円
山形県433.7万円
福島県417.2万円
茨城県409.1万円
栃木県523.1万円
群馬県393.4万円
埼玉県584.1万円
千葉県543.0万円
東京都504.9万円
神奈川県547.2万円
新潟県512.0万円
富山県644.5万円
石川県526.0万円
福井県427.8万円
山梨県470.7万円
長野県511.7万円
岐阜県544.1万円
静岡県527.1万円
愛知県529.8万円
三重県360.4万円
滋賀県454.8万円
京都府429.3万円
大阪府467.9万円
兵庫県503.8万円
奈良県506.0万円
和歌山県364.7万円
鳥取県381.6万円
島根県471.9万円
岡山県420.8万円
広島県478.4万円
山口県453.1万円
徳島県
香川県586.7万円
愛媛県376.1万円
高知県495.2万円
福岡県404.4万円
佐賀県414.4万円
長崎県313.9万円
熊本県355.8万円
大分県369.9万円
宮崎県393.2万円
鹿児島県375.7万円
沖縄県399.0万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※最高値は赤字、最低値は青字で表しています。
※データのないものは「-」で表しています。

保健師の平均年収が最も高かったのは富山県の644,5万円、最も低かったのは長崎県の313.9万円となっています。

【企業規模別】保健師の平均年収

企業規模別の保健師の平均年収は以下のようになっています。

10~99人100~999人1000人~
510万円436.8万円447.5万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

厚生労働省のデータによると企業規模10~99人の平均年収が最も高くなっており、保健師の年収は企業規模が大きくなるほど高くなるわけではないことが分かりました。

【経験年数別】保健師の平均年収

経験年数別の保健師の平均年収は以下のようになっています。

0年1~4年5~9年10~14年15年~
362.2万円387.5万円432.1万円487.2万円514.6万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「所定内給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

保健師の平均年収は経験年数を積むほど高くなっています

保健師で収入アップを目指す人は、経験年数を積み役職につくことも一つの方法だと言えます。

【施設形態別】保健師の平均年収

マイナビ看護師の求人サイトを参考に、それぞれの施設形態のおおよその年収幅を調べてみました。

施設形態年収
病院300~500万円
クリニック・診療所250万円~450万円
施設(有料老人ホーム・老健など)250万円~450万円
訪問看護ステーション340~490万円
一般企業350~500万円
治験関連企業400~500万円
保育施設300~400万円

※出典:マイナビ看護師

保健師の勤務先は多種多様であり年収幅もそれぞれ異なっていますが、全体の平均は大体300~400万円程度だと考えられます。

【常勤・夜勤別】保健師の平均年収

マイナビ看護師の求人サイトを参考に、常勤と夜勤のおおよその年収幅を調べてみました。

勤務形態年収幅
常勤(二交代制)350~500万円
常勤(三交代制)280~470万円
夜勤なし350~480万円
夜勤専従400~550万円

※出典:マイナビ看護師
※「夜勤なし」は夜勤なし可能の求人を参考にしているため、夜勤のある勤務先の求人を含みます。
※夜勤専従とは、夜勤だけで働くことを指します。

ここで、「夜勤の勤務形態?」「二交代制・三交代制って何?」と疑問に思った方は下の引用をご参照ください。

夜勤には、三交代制準夜勤・三交代制深夜勤・二交代制夜勤の3種類があります。

三交代制とは、勤務時間帯を「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに分ける制度のことを言います。

例えば、「日勤は9時から17時まで」「準夜勤は17時から深夜1時まで」「深夜勤は深夜1時から翌朝9時まで」というように分けます。

二交代制とは、勤務時間帯を「日勤」と「夜勤」の2つに分ける制度です。

引用:お金のカタチ「助産師の平均年収は553.9万円!収入アップ・国家試験・口コミも紹介

このように、二交代制の方が三交代制より勤務時間が長いため、必然的に収入も高くなります。

また、精神的・肉体的負担の観点から、日勤よりも夜勤の収入の方が高くなります。

【パート・アルバイト】保健師の平均年収

保健師は、正社員以外にもパート・アルバイトとして働くこともできます。

そこで、正社員とアルバイト・パートで年収を比較してみると、以下のようになりました。

正社員保健師アルバイト・パート保健師
480.7万円208.3万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※正社員の年収は「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出。

パート・アルバイト保健師の平均年収の計算方法は以下のようになっています。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、保健師の短時間労働者の労働状況は、

  • 平均時給:1,892円
  • 1日あたりの平均労働時間:6.2時間
  • 1ヶ月あたりの労働日数:14.2日
  • 年間賞与(ボーナス)等:84,900円

となっているので、

パート・アルバイト保健師の平均年収

=1,892円×6.2時間×14.2日×12ヶ月+84900円

=2,083,760円

という結果になりました。国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の非正規雇用者(アルバイトやパートなど)の平均年収は176万円です。

そのため、保健師アルバイトとして働くと、平均を上回る給料がもらえる可能性があることが分かります。

ただし、上記は全て平均値なので、実際の収入と大きく異なる場合がございます。

【比較】他の医療従事者との年収の違い

医師以外の医療従事者のことを「コメディカル」と言います。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」を参考に、そうしたコメディカルの収入をランキング形式でご紹介します。

順位職種名月収年収(賞与含む)
1薬剤師約40万円約576万円
2助産師約38万円約553万円
3診療放射線技師約37万円約546万円
4看護師約34万円約493万円
5臨床検査技師約33万円約487万円
6保健師約32万円約480万円
7理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
視能訓練士
約37万円約546万円
8臨床工学技士約29万円約423万円
9准看護師約28万円約398万円
10歯科衛生士約27万円約376万円
11栄養士約25万円約367万円

※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査
※上記数値は、「きまって支給する現金給与額(≒月収)×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

上の表によると、保健師の年収は臨床検査技師と近いことが分かります。

臨床検査技師の収入事情や仕事内容については下のリンクからご覧いただけます。

保健師の【生涯年収】を日本の平均と比較してみた

年代別平均年収をもとに、保健師の生涯年収を計算すると1億8000万になりました。

計算方法は以下をご参照ください。

大学卒業後23歳〜60歳までの38年間働くと仮定すると、

保健師の生涯年収

=398万円×2年間+(410万円+396万円+486万円+522万円+494万円+574万円+550万円)×5年間+355万円×1年間

=1億8311万円

独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表している「ユースフル労働統計2021 ―労働統計加工指標集―」によると、

大学・大学院卒業後60歳までフルタイムの正社員を続けた場合、日本の平均的な生涯年収は男性が2億7,000万円、女性が2億2,000万円となっています(退職金を除く)。

上記を踏まえると、保健師の生涯年収は平均を下回っていると言えます。

保健師の4つの働き方と仕事内容

一口に保健師と言っても、いくつか種類があります。

ここでは、以下に挙げる4種類の保健師とその働き方についてご紹介します。

  1. 行政保健師
  2. 病院保健師
  3. 産業保健師
  4. 学校保健師

では、一つずつ見ていきましょう。

行政保健師

行政保健師とは、保健所や保健センターなどで公務員として働く保健師のことです。

地域公務員だけでなく、国家公務員として省庁で働く保健師もいます。

行政保健師の平均年収は以下のようになっています。

国家公務員地方公務員
平均月収357,517円389,770円
賞与(月収4.40ヶ月分)約157万円約171万円
平均年収約429万円約467万円

※出典:人事院「令和3年国家公務員給与等実態調査報告書」,「令和4年人事院勧告」総務省「令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果
※賞与は月収の4.40ヶ月分と仮定しています。

上記より、国家公務員保健師の平均年収は約429万円、地方公務員保健師の平均年収は約467万円となります。

行政保健師は生活習慣病や糖尿病予防などの保健指導や相談だけでなく、地域保健に関する施策を立案・実施したり、健康なまちづくりや災害対策などの領域でも活躍しています。

病院保健師

病院保健師とは、病院・クリニック・訪問看護ステーション・診療所などで働く保健師のことです。

主な仕事内容は、医師や看護師が患者さん対応を行う前に事前に行う「基礎健診業務」です。

基礎健診業務とは、患者さんの基礎的な健康状態を知るために行う診断のことです。

その他には、以下のような業務があります。

  • 患者さんの生活指導
  • 予防接種のサポート
  • 病気予防のアドバイス
  • 病院スタッフの健康管理

このように、病院保健師は、医師や保健師など、他の医療従事者との連携が求められる職業なのです。

産業保健師

産業保健師とは、一般の民間企業で働く保健師のことです。

社員数の多い大企業に医務室が設置され、その中で保健師が働きます。

主な仕事内容は社員の健康状態のサポートです。

身体的な健康状態だけでなく、過労や人間関係に起因する精神的な健康状態のチェックも行っています。

学校保健師

学校保健師とは、小学校・中学校・高校・大学や専門学校に勤務する保健師のことです。

学校保健師の主な仕事内容は、学生と教職員の健康管理や怪我の応急処置です。

産業保健師と同じく、身体的・精神的なケアの両方を行います。

多感な時期の学生を相手にケアを行うため、一人ひとりに合わせたコミュニケーションをとる力が求められます。

また、国立の小学校・高校・大学の保健師として働く場合には、保健師免許に加えて養護教諭免許が必要になります。

保健師が収入アップする方法は働き方によって異なる

保健師が収入を上げる方法は、働き方によって異なります

行政保健師は公務員なので、基本給があらかじめ決められています。そのため、勤続年数を伸ばすことで自然と給料は上がっていきます。

一方それ以外の保健師(産業保健師や病院保健師など)は、勤務先によって給料が大きく異なります。そのため、勤務先に合わせた収入アップの方法が必要になります。

ここからは、保健師がの様々な働き方に共通する収入アップの方法を2つご紹介します。

①:勤続年数を積んで役職手当をもらう

1つ目は、勤続年数を積んで役職に就き、役職手当をもらう方法です。

同じ勤務先で長く勤めることによって、責任ある役職に就ける可能性が高まります。

同じ勤務先に長期間勤めるためには、勤務時間や福利厚生・手当の有無など、自分に合った勤務条件の勤務先を選ぶ必要があります。(役職手当の有無も勤務先によって異なるのです…)

そのため、就職・転職前のリサーチが非常に重要になってきます。

②:関連資格を取得する

2つ目は、スキルアップできるような保健師の関連資格を取り、資格手当をもらう方法です。

保健師には、専門性を高め、スキルアップするための関連資格が存在します。

(それぞれの資格の詳しい情報は、上の資格名を押すとご覧いただけます。)

特に養護教諭免許や思春期保健相談士は、学校を勤務先とする学校保健師に適している資格です。

このように、保健師には多様な関連資格が存在します。勤務先や働き方に合わせた資格を取得することが収入アップへの近道なのです。

保健師になるための2つの条件と方法・試験の倍率

保健師になる方法 国家試験

保健師になるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 看護師免許を取得
  2. 保健師免許を取得

このように、毎年2月に実施される看護師・保健師国家試験の両方に合格する必要があるのです。

保健師を目指すルートには以下の2つがあります。

  1. 保健師課程を含む4年制大学・専門学校からダブル受験
  2. 看護系大学・短大・専門学校に通い、2つの国家試験を別々に受験
  3. 看護師として働きながら保健師を目指す

それでは一つずつ見ていきましょう。

ルート①:保健師課程を含む4年制大学・専門学校からダブル受験

1つ目は、保健師課程を含む4年制の大学あるいは専門学校に入学し、看護師・保健師国家試験を同時に受験するルートです。

保健師になるまでのステップ

①高校卒業後、保健師課程が履修できる4年制大学・専門学校に入学

②看護師課程と保健師課程を履修

③看護師・保健師国家試験をダブル受験

④合格すれば保健師に

このルートでは、看護師課程と保健師課程を同時に履修しているため、最短で保健師になることができます

そのため、時間やお金に余裕がない学生、看護師と保健師のどちらになるか選べていない学生におすすめの方法です。

ただし、最短であるだけに学習量が膨大です。そのため、このルートでは計画的に学習を進めていく自己管理能力が必要になってきます。

ルート②:看護系大学・短大・専門学校に通い、2つの国家試験を別々に受験

2つ目は、看護師課程と保健師家庭を別々に履修し、国家試験も別々に受験する方法です。

保健師になるためのステップ

①高校卒業後、看護系大学・短大・専門学校に入学

②看護師課程を履修

③看護師国家試験を受験し、合格

④看護系大学院、看護大学専攻科・別科、看護短期大学専攻科、保健師養成所のいずれかで1~2年間、保健師課程を履修

⑤保健師国家試験を受験

⑥合格すれば保健師に

ダブル受験と比べる時間はかかるものの、国家試験を一つずつ受験できるため、試験一回あたりの負担も少ないというメリットがあります。

そのため、このルートはじっくりと時間をかけて保健師を目指したい学生におすすめの方法です。

ルート③:看護師として働きながら保健師を目指す

3つ目は、看護師として働きながら保健師養成校に通って保健師を目指す方法です。

保健師になるためのステップ

①看護系大学院、看護大学専攻科・別科、看護短期大学専攻科、保健師養成所のいずれかで1~2年間、保健師課程を履修

②保健師国家試験を受験

③合格すれば保健師に

看護師資格を既に持っていれば、保健師養成校に通うことで最短1年間で保健師を目指すことができます

学生時代に保健師を目指すことができなかった人、不合格になってしまった人、働きながら保健師の魅力を感じて目指す人などに適しているルートです。

現在では、日中働いている人に向けたカリキュラムやサポート体制の整った勤務先も増えてきており、働きながらキャリアアップしやすい環境作りが進められています。

ちなみに、保健師国家試験の倍率は以下のようになっています。

実施年合格率受験者数合格者数
令和4年89.3% 7,948人 7,094人
(うち新卒者)93.0% 7,504人 6,975人
令和3年94.3%7,834人7,387人
(うち新卒者)97.4%7,281人7,094人
令和2年91.5%8,233人7,537人
(うち新卒者)96.3%7,318人7,050人
平成31年81.8%8,376人6,852人
(うち新卒者)88.1%7,456人6,567人

※厚生労働省「国家試験合格発表

保健師国家試験の倍率はここ数年では80~90%に落ち着いており、全体の合格率よりも新卒者の合格率の方が高く出ています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

お金のカタチでは、他にも様々な職業の収入事情・仕事内容を詳しくご紹介しています。

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